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※この記事は2024年8月に取材を行った上で執筆しております。
about特急らくラクやまと号
特急らくラクやまと号は、新大阪駅と奈良駅を大阪環状線などを経由して結ぶ通勤特急です。
奈良県には数十年にわたって長らくJRの定期特急が設定されていませんでした。
特急こそなかったもの、大和路線という愛称がついたJR難波~加茂間に関しては大阪方面への通勤・通学需要がありますので、特急車両を用いた「やまとじライナー(種別は快速)」というものが運行されていました。
そんなやまとじライナーの再来ともいうべきか、最近着席保証サービスが流行っていますのでその流れに乗る形で、2024年3月、通勤特急「らくラクやまと」が運行を開始したというわけです。実に半世紀ぶりの定期特急*1復活です。
元奈良県民として非常に喜ばしいです。
基本的に通勤・通学需要を支える通勤特急ですので、朝夕の一往復のみ運行、停車駅も特急料金不要の「大和路快速」とほとんど変わりありませんが、車内の設備は段違いと言っても過言ではありません。
今回はそんならくラクやまと号を紹介していこうと思います。
特急らくラクやまと号の運行区間・停車駅
運行区間
停車駅
車両編成
1~3号車:普通車指定席
着席保証のため、自由席は設けていないものと推察されます。
使用車両
特急「くろしお」で活躍している青帯の287系です。同じ形式で帯の色が赤色の車両も北近畿方面で活躍しています。
とにかく万能で、汎用性を意識した特急車両となっています。個性はそれほど感じませんが、多様な需要に答えるため、車内の設備は平均的かつ高水準に感じられます。そんな287系の3両編成がらくラクやまとに投入されています。
乗車に必要な追加料金はいくら?
正規料金は高すぎる
特急列車かつ指定席ですので、指定席特急料金が必要となります。
気になるお値段は「1290円~1730円」です。
何個か区間を抜粋しますと、
(2024年11月現在)
※乗車券が別に必要
正規料金ではどんなに短距離の利用でも特急料金が1290円を下回ることはありません。正規料金では。
ということは、正規料金よりも安く乗れる方法があるということでして、それがJR西日本の予約サイトe5489で発売されている「J-WESTチケットレス」なのです。
J-WESTチケットレスで価格は半額程度に(案件ではありません)
J-WESTチケットレスを利用した場合の特急料金は、「600円~750円」となります。
区間によっては正規料金の半額以下です。
こちらも抜粋してみますと、
(2024年11月現在)
※乗車券が別に必要
新大阪~奈良では正規料金より1000円近く安く購入できます。
元の値段が高額とはいえ、かなりの割引率ではないでしょうか。
しかも、チケットレスですのでスマホで購入が可能。券売機や窓口に並ぶ必要もありません。
注意点として、J-WESTチケットレスは乗車日当日若しくは前日のみ購入可能ですので、例えば1ヶ月前から予約しておきたい場合は利用できません。
しかし、通勤通学で利用される場合は前日からでも充分だと思います。
「らくラクやまと」に乗車される際はぜひJ-WESTチケットレスをご利用ください。
(案件臭いですが一切案件ではありません。筆者が勝手に宣伝してます。)
e5489は以下のアプリ若しくはリンクからアクセス可能です。
▼以下のリンクからJ-WESTチケットレスの料金表が閲覧できます。
https://tickets.jr-odekake.net/shohindb/view/consumer/tokutoku/detail.html?staticShnId=100012101
同じ区間を走る「うれしート」との違いは?
大和路線の着席保証サービスと言えば、特急らくラクやまと号の他にも、一部の快速列車に着席保証の有料座席「うれしート」が連結されています。
2つの着席保証サービスの違いを大まかにまとめてみました。
この他にも設備の違いを挙げればきりがないですが、通勤時間に何を求めるかによって選択は変わると思います。
例えば朝のラッシュ時間帯に座れさえすれば良いのであれば、チケットレスで300円から乗車できる「うれしート」、特急列車ならではの上質な座席でゆったり通勤したいなら「らくラクやまと」となるでしょう。
乗客の棲み分けはある程度なされているのではないかと考えます。
車内紹介
- ポリシーは記事下部に記載しています。
禁煙・Wi-Fiに関する情報
全席禁煙・喫煙室なし
喫煙室は設置されておらず、車内も全席禁煙です。
Free Wi-Fiなし
Free Wi-Fiは利用できません。
普通車指定席車内
車内全景
在来線特急の普通車ではおなじみ2+2の配列です。
座席
座席について特筆すべき点は見当たりません。強いて言えば背もたれが大きく、安定感があることぐらいでしょうか。
JR西日本ではよく見かける形状の座席です。
2号車には車椅子対応座席が設置されています。
コンセント
コンセントは客室両端(最前列・最後列)にある固定背面テーブルに設置されていますが、それ以外の座席では利用できません。
全席に備わっていないのは少し残念ですね。
リクライニング
リクライニング角度は充分に満足できる水準です。
リクライニングは肘掛けのボタンを押すことで無段階に調整可能です。
ベストポジションを見つけましょう!
テーブル
背面テーブル
背面テーブルが設置されています。仕事をしたり、食事をしたり、活用方法は様々です。
最前列は前に座席がないので、壁に備え付けのテーブルを使用できます。
ミニテーブル(肘掛けに格納)
ミニテーブルには特急券やペットボトル・缶などが置いておけます。
テーブルは併用可能
背面テーブルとミニテーブルは併用が可能です。
ミニテーブル→背面テーブルの順に展開するとスムーズです。
背面ポケット
雑誌や新聞などを入れておけるポケットが設置されています。乗車時にはリーフレットが入っていました。
フック
座席の背面にフックが設置されています。小さめのカバンなどを掛けておけます。
アームレスト(肘掛け)
座席間のアームレストに関しては跳ね上げが可能です。
枕カバー
枕はありませんが、後頭部には白い布がかけられています。
窓
窓は大型で、JR西日本の在来線特急ではこのサイズが当たり前ですね。
眺望は非常に良いです。
窓際
窓際には飲料や特急券などを置いておけます。指定席ですのでよほどの事情がない限り検札はありませんが。
カーテン
カーテンは横からスライドさせるタイプです。
棚
座席上部の棚には少し大きめの荷物も置いておけます。
座席番号
座席番号は棚の裏面に記載されています。
全席指定席ですので、手元の特急券と照らし合わせて間違いのないように座りましょう。
情報表示液晶・トイレランプ
停車駅などの情報を表示する液晶と、トイレの使用状況がわかるランプが客室両端に設置されています。
座席からトイレの空き具合がわかるのはありがたいですね。
特急らくラクやまと号のその他設備
トイレ
トイレが設置されています。写真のトイレの他にも女性専用トイレなど、いくつかのタイプがあります。
洗面台
洗面台はいくつか種類がありますが、写真のものはカーテンで仕切ることも可能になっています。
洗面台は清潔感あふれるものです。
鏡
大型の姿鏡が設置されています。下車前に身なりを整えることができます。
ごみ箱
ごみはごみ箱に捨てましょう。
防犯カメラ
防犯カメラが車内に設置されています。
特急らくラクやまと号のまとめ・乗車した感想
今回は特急らくラクやまと号を紹介しました。
乗車した感想としては、快適そのものといった感じです。サービスに文句はありません。(Wi-Fi導入と全席コンセントさえ整備してもらえれば最高ですが)
あとはそれに見合う価格設定になっているかという点です。
近年全国で、JR私鉄問わず着席保証サービスが導入されています。
コロナ禍が明け、通勤ラッシュの混雑まで回復してしまった現在、数百円払えばゆったり通勤通学できるというのは非常にありがたいサービスです。
しかしながらそのすべてが成功を収めているわけではありません。導入する路線の所要時間や客層によっても左右される着席保証サービスの運命ですが、果たして大和路線ではどうでしょうか。
車両をのれんで区切るだけの低コストな「うれしート」とは異なり、専用の車両を使って清掃とか色々経費かけているはずですから、JRとしては結構乗ってくれないと困る列車でしょう。
筆者はお盆直前の8月上旬に奈良→天王寺で乗車しましたが、お世辞にも乗車率が良いとは言えなさそうです。
奈良駅出発直後、列車に私含め数名だったのはまだ理解できるのですが(奈良駅始発の快速に乗れば全然座れるため)、その後いろいろな駅に停車しても乗客は若干しか増えず。単なる着席保証サービス「うれシート」に比べれば追加料金は高くなりますし、乗車時間も神戸線や京都線に比べると長くない状況で、果たして特急は必要なのでしょうか?
界隈では数年以内に廃止されるのでは?との観測も出ていたりします。まあこれは根拠がないので風の噂だと思いますが。
ちなみに奈良県を走った最初の定期特急「あすか」は、2年半で廃止されています*2。
同じ轍は踏んでほしくないですね。
機会があれば一度だけでも乗車してみてはいかがでしょうか。
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- JTB小さな時刻表2024年秋号
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