
目次
※この記事は2025年2月・2025年12月に取材を行った上で執筆しております。

三度の飯よりも旅行。
乗り鉄/音鉄/座席鉄。
about特急サンライズ出雲号・瀬戸号

特急サンライズ出雲号・瀬戸号は、日本最後の定期寝台特急です。
夜行バスや飛行機の台頭以前、そのポジションにあったのは長距離夜行列車でした。今の夜行バスにグレードがあるように、長距離夜行列車にも当然グレードが有りました。
まずいちばん安価な鈍行列車。東北本線や山陰本線、紀勢本線を前線走破するような普通列車が運行されており、当然のごとく夜通し走っていたわけです。しかし内装は普通列車ですので、当然乗り心地は良いものではなかったそうです。これは早い段階で廃止されました。
次に夜行急行列車。最後まで残った夜行急行「はまなす」や、東京大阪間の「銀河」などが運行されており、座席車も連結していました。リクライニングシートで寝るタイプですね。
筆者の祖父は銀河の座席車で東京に行ったそうです。
これらは段階的に寝台特急に統合されていきました。2025年1月現在、JRに定期急行は昼行夜行含め存在しません。
さて、最後に寝台特急。車両の色からブルートレインという愛称を付与され、日本全国を縦横無尽に駆け巡ったいわば国鉄・JRの華といえる存在でした。
1964年に東海道新幹線が開通し順次延伸した後も、騒音や保守の関係で24:00~翌朝6:00は運行できない新幹線を横目にブルートレインは活躍し続けたわけですが、飛行機の圧倒的速さ、夜行バスの圧倒的安さには流石に敵いません。
さらに、長距離運行というだけあってダイヤ乱れの影響をもろに受けやすく、利用率が低迷しているにもかかわらず貴重なラッシュ時のダイヤに突入してしまいます。
夜行列車を廃止して、新幹線をプッシュしたほうが営利企業たるJRとしては良いわけです。
そんなこんなでいつの間にか夜行列車もとい寝台特急は姿を消し、文字通り絶滅危惧種となっています。そして今回扱うサンライズ出雲号・瀬戸号も、登場から30年以上経っていますが後継車の話題が一向に上がってきません。JRが列車を廃止するときの決まり文句「車両老朽化のため」が適用されそうな予感がしてなりません。
今回はなくなる前に乗っておこうということで、大阪→東京をB個室シングルで乗車しましたので、車内の様子を皆様にお伝えできればと思います。
JRは公共性が高いとはいえ営利企業。国鉄が38年で解体され、JRは2025年で38年目を迎えます。もう国鉄の名残だとか、そういうものはなくしたいという気持ちも理解できます。
特急サンライズ出雲号・瀬戸号の運行区間・停車駅(サンライズ91・92号は除く)
多客時には下り列車が大阪に停車する非常に便利な「サンライズ出雲91・92号」が運行されますが、年間の設定日数が非常に少ないため、今回は通常運行される定期列車および年間の設定日数が多い琴平延長運転を紹介の対象にしています。
運行区間

東京⇔出雲市
(東海道本線・山陽本線・伯備線・山陰本線経由)
東京⇔高松(延長運転時は東京⇔琴平)
(東海道本線・山陽本線・瀬戸大橋線・予讃線・土讃線※経由)
※土讃線は琴平延長運転時に経由
下り列車は東京を起点としつつ、新幹線と接続をとることによって本来の発車時間より遅くに首都圏を出てもサンライズ号に追いつく配慮がなされています。上り列車も同様に配慮がなされています。また、サンライズ瀬戸号は多客時に琴平まで延長運転を行うポイントも見逃せないでしょう。
停車駅
東京・横浜・熱海・沼津・富士・静岡・▶浜松・◀大阪・◀三ノ宮・姫路・岡山・倉敷・備中高梁・新見・米子・安来・松江・宍道・出雲市
▶:下り≪高松方面≫のみ停車
◀:上り≪東京方面≫のみ停車
東京・横浜・熱海・沼津・富士・静岡・▶浜松・◀大阪・◀三ノ宮・姫路・岡山・児島・坂出・高松・(▶多度津・▶善通寺・▶琴平)
▶:下り≪高松方面≫のみ停車
◀:上り≪東京方面≫のみ停車
()内は延長運転時に停車
車両編成

東京~岡山ではサンライズ出雲・サンライズ瀬戸の併結運転となりますが、あくまで両者は併結しているだけ、すなわち2つの全く同じユニットを1つにまとめているだけというわけです。ですので号車番号以外では1号車~7号車と8号車~14号車は同じ部屋割りと設備です。
1・8号車:B寝台個室シングル/B寝台個室シングルツイン
2・9号車:B寝台個室シングル/B寝台個室シングルツイン
3・10号車:B寝台個室ソロ
4・11号車:A寝台個室シングルデラックス/B寝台個室サンライズツイン
5・12号車:B寝台個室シングル/指定席ノビノビ座席
6・13号車:B寝台個室シングル/B寝台個室シングルツイン
7・14号車:B寝台個室シングル/B寝台個室シングルツイン
使用車両

サンライズ号専従の寝台特急車両です。JR西日本所属編成とJR東海所属の編成が存在し、合計5編成でサンライズ号の運行を支えています。従来の寝台特急に使用されていた寝台客車と異なり、個室の割合が非常に大きくなっています。ぬくもりを感じる特徴的な内装は、ミサワホームの参画によって誕生したものです。
乗車に必要な運賃・料金は?
3種類の運賃・料金を支払う
特急に乗車する際に必要な「乗車券」「特急券」に加え、「寝台料金」が必要となります。ただし、ノビノビ座席は普通車指定席扱いですので寝台料金は不要です。
寝台料金は区間にかかわらず同一です。「1部屋抑えるための料金」と考えていただいたほうがわかりやすいと思います。もちろん部屋のグレードによって寝台料金は変動します。
寝台料金は最安のB寝台1人個室「ソロ」の6600円から、A寝台1人個室「シングルデラックス」の13980円、B寝台2人個室「サンライズツイン」の15400円まで幅が広いです。
今回乗車するB寝台1人個室「シングル」の寝台料金は7700円です。
チケットは何を買えば良い?
3種類の運賃・料金が必要な特急サンライズ出雲号・瀬戸号ですが、特急券と寝台券は事実上一体となって発券されますので、必要な切符は実質2種類です。
- 乗車券はみどりの券売機若しくはみどりの窓口、あるいはe5489で購入できます(インターネット予約の場合は発券が別途必要)。
- 特急券・寝台券もみどりの券売機やみどりの窓口、後述のe5489で購入可能です(インターネット予約の場合は発券が別途必要)。
e5489で特急サンライズ出雲号・瀬戸号を予約できるが…
JR西日本の予約サイト「e5489」では、特設ページにてサンライズ号の予約が可能です。
但し、サンライズ号は人気がすさまじいため、発売開始となる乗車1ヶ月前の午前10時から争奪戦が始まります。争奪戦はネット予約に限りません。全国のみどりの窓口から、駅員さんによる俗称「10時打ち」(駅に設置されている予約機器の連打操作)によって、瞬きをする間もなく空き部屋が陥落していきます。
正直、確実とはいかずとも、それなりの確率でチケットを確保するならみどりの窓口で駅員さんに10時打ちを頼むほうが良いでしょう。
しかしながら1か月前に予約をとれなかったからと言ってあきらめる必要はありません。毎日当該列車の空室情報をe5489で確認していると、ごくたまに空室が見つかることがあります。一説には旅行代理店がキャンセルを出しているとかなんとか…
e5489は予約には心もとないかもしれないですが、空室情報の確認には非常に便利です。
なお、チケットレス特急券ではありませんので、予約後は券売機での発券が必要となります。一部の駅では乗車時間直前だと券売機が利用できませんので、早めの発券を心がけましょう。
遅延は常に考慮しておくべし
さて、サンライズ号は長距離を走る関係で、その間のどこかで障害が発生した場合、問答無用で遅延します。高架を走る踏切のない新幹線と違い、在来線を走りますから、皆さんがまれに遭遇する人身事故にもサンライズ号は巻き込まれてしまいます。
私は運がいいことに、過去二回の乗車で1回目は5分の遅延、2回目は定刻通りに目的地に到着できました。しかしサンライズ号と遅延は切っても切れない関係にあることは事実です。
ではどの程度余裕を持てばよいのか?
あくまで私の意見ですが、到着日の朝一番の新幹線で目的地に到着しても乗り継ぎや予定に間に合うほど余裕を見れば大丈夫だと考えています。
以下の説明は大阪⇒東京の例です。
大阪から東京を乗車した場合、到着日の朝一番に新大阪を出発した新幹線は、8:23に東京駅に到着します。サンライズ号は東京駅に7:08に到着しますので、この場合1時間15分以上は余裕が必要ということになります。
大阪周辺で運転打ち切りになったり、そもそもサンライズ号が全区間運休してしまうと、翌朝の新幹線が動き出すのは6:00です。
サンライズ号が運転打ち切りとなった場合や、大規模な遅れが発生した場合は新幹線に乗り換えて目的地を目指すことになりますから、そのような事態になっても予定に間に合うようにすれば遅延におびえることなく安心して睡眠できます。
このような対策をとっても、運転打ち切りとなった場所や時間帯によっては間に合わない可能性も残りますが、現実的な余裕時分という意味では上記の対策をお勧めします。
もちろん、始発の新幹線よりも早く目的地に到着することがサンライズ号のメリットの一つであることは確かです。しかし運に賭けて大切な予定や乗り継ぎをぎりぎりに設定してしまうと、万が一の場合に絶望を味わうことになりかねません。
定刻ありきのスケジュールは絶対にやめたほうが良いでしょう。
琴平延長運転とは?

主に金曜日・土曜日に東京駅を出発するサンライズ瀬戸号は金刀比羅宮で有名な琴平まで延長運転を実施します。運行上、いったん高松駅に停車したのち、折り返して多度津駅から土讃線に乗り入れて琴平を目指す形式となっています。
なお、この延長運転はあくまでも下り列車、すなわち高松・琴平方面のみの運行となっています。
車内紹介
この記事は特急サンライズ出雲号・サンライズ瀬戸号の「B寝台個室シングル」を紹介する記事です。
ノビノビ座席(普通車指定席)は以下の記事を御覧ください。
- ポリシーは記事下部に記載しています。
- 複数回にわたって取材を行っています。
- 記載の情報は2025年1月・12月時点のものです。
禁煙・Wi-Fiに関する情報
車内は禁煙。但し、喫煙可能な部屋が設定
車内は禁煙ですが、ノビノビ座席、すなわち「座席」以外の「寝台」に関しては、喫煙可能な部屋が設定されています。
新幹線で喫煙室が廃止された今、移動しながら喫煙できることは、喫煙者の人にとってはサンライズ号の大きなアドバンテージになりそうです。
Free Wi-Fiは利用不可
Free Wi-Fiは利用できません。長時間の乗車だけに利用できないことによるダメージはかなり大きいものがあります。
私はサンライズに乗車する際はpovo2.0の「24時間データ使い放題」を課金することにしています(PRではありません)。課金する公衆Wi-Fiがあることも考えるとかなり有力な選択肢です。
B寝台個室「シングル」紹介
今回は車端の部屋を予約しました。通常の「シングル」と異なり、部屋の天井がかなり高くなっています。あくまで屋根の高さは大多数の部屋と異なる点をご理解ください。
部屋全景

個室とは言うものの、結局は寝床を壁で囲ったものといった表現が適切だと感じます。
しかしながらベッドサイドには荷物などを置いておける余裕もあります。
これがさらに狭くなる「ソロ」だと尚更かもしれません。
個室に広さを求めてはいけません。
部屋の施錠・開錠
個室なので施錠が可能です。



詳しい利用方法は個室内部に記載があります。(セキュリティ確保のためここでは紹介しません)

覗き窓

来訪者の確認に使用できます。
ベッド

普段から二段ベッドで就寝しているせいか、ベッドの幅は狭いとは感じませんでした。

ベッドには枕・掛け布団・寝間着が置かれています。
コンセント

コンセントが設置されているので長時間の乗車でも安心です。
ちなみにノビノビ座席にはコンセントが存在しませんので、長距離の利用であればあるほど個室がおすすめです。
テーブル

テーブルが設置されています。仕事をしたり、食事をしたり、活用方法は様々です。

ドリンクホルダー

折り畳みが可能なドリンクホルダーです。特筆することはありません。

デフォルトでコップがセッティングされています。
コントロールパネル・非常通報装置

枕元には各種スイッチが勢ぞろいしています。明かりのスイッチやヒーターの調節などが可能です。

夜中に明かりを全部消すと不慣れな車内でどれが明かりのスイッチかわからなくなる問題は存在します。
また、個室特有の設備として、部屋の内部にSOSボタンが設置されています。
しかし前述のとおり密集したスイッチの一翼を担っていますから、(ボタンにカバーがかかっているとはいえ)間違って押しそうになってしまいそうで不安です(実際に間違えかけました)
室内灯

前述のコントロールパネルでON/OFFが可能です。
窓・カーテン

カーテンは分厚いので遮光性抜群なのはもちろん、朝ラッシュの首都圏を通過中に着替えをしていても外部から見えにくい仕様です。
カーテンは上から引き下ろすタイプです。
一部客室ではカーテンが電動です。その場合はみだりに手で開閉しないようにしましょう。
ハンガー

上着などをかけておけます。ズボンを吊る用の棒も付いているのはうれしい配慮ポイントですね。
スリッパ

スリッパに履き替えることもできます。
室内のごみ袋(?)

非常に簡易的ですがあるだけ大変ありがたいです。
鏡

髪型をセッティングし、ネクタイを整えてから部屋を出ることが可能です。
送風口

風向や風力を調整可能です。
スピーカー

車内放送はここから聞こえます。
部屋番号

全席指定席ですので、手元の特急券と照らし合わせて間違いのないように座りましょう。特に号車は間違えないようにしましょう。
サンライズ出雲号・サンライズ瀬戸号のその他設備(全寝台・座席共通)
シャワー
シャワーが利用可能です。夜行バスに対する大きなアドバンテージです。

但し、シャワーは誰でも利用できるわけではありません。数量限定のシャワーカードを事前に購入する必要があります。
途中駅からの乗車では売り切れている可能性が高いので、シャワーを利用したい場合は始発駅からの乗車が必要になってきます。
但し、A寝台個室シングルデラックスに乗車している場合は話は別。部屋のアメニティにシャワーカードが同封されており、シャワールームもA寝台の乗客専用のものが利用できます。途中駅からの乗車でもA寝台なら安心です。

なお、画像にもあるようにタオルは販売されていませんので、乗車前に事前に持参もしくは購入する必要があります。
自動販売機

自動販売機が設置されています。銘柄の種類は少なめです。
ラウンジスペース

個室も十分快適ですが、このようなラウンジスペースもあります。気分転換に最適です。
トイレ

もちろんトイレが設置されています。
洗面台・おしぼり

洗面台は清潔感あふれるものです。
デッキのごみ箱

部屋内にもごみ袋はありましたが、こちらも使用できます。
ごみはごみ箱に捨てましょう。
サンライズ出雲号・サンライズ瀬戸号のまとめ

今回はJRが運行する寝台特急「サンライズ出雲・サンライズ瀬戸」の概要や、B寝台個室「シングル」について紹介しました。
乗車直後は興奮しておりなかなか寝付けませんでしたが、気づけば思ったよりもぐっすり眠ることができて大変快適でした。
一方、特に車端部の部屋でしたのでかなり揺れが気になったのも事実。寝てしまえば関係ありませんが、着替えや食事をしている最中に揺れるとかなり危ういです。
また、仕方のないことですが通路の狭さも気になりました。普通の特急列車なら空いている座席の隙間で退避を行うことが可能ですが、サンライズ号は個室ですので「壁」ですから、行き違いには譲り合いの精神が求められます。

近年、夜行列車界隈では復活の狼煙も上がっています。夜行列車としての移動手段を超えて、列車自体にも価値が見出されるようになり、新しい夜行列車が誕生しました。その例として、JR東日本の「四季島」やJR九州の「ななつ星」、JR西日本の「トワイライト瑞風」などの列車が挙げられるでしょう。

しかし、サンライズ号が好きな人間としてはこの状況を手放しに喜ぶことはできないと考えています。
これらの列車とサンライズ号には決定的な違いが存在します。
それはまさにサンライズ号が定期運行であり、普段使い、すなわちビジネスや帰省での利用ができることではないでしょうか。
「今日サンライズ乗れるな」と思ったときに乗れる、そういった一種の気楽さが本来このような庶民派寝台特急にはあるはずです。数十万円を超える超豪華設備ではなく、狭い個室でそこそこの運賃・料金で乗車できること。これもサンライズ号にしか出せない魅力です。

最近はサンライズ号も人気が上昇し、気軽に予約できる列車ではなくなってしまいました。かくいう私もサンライズ号に乗ること自体を目的に乗車しましたし、やや観光列車的な一面が大きくなったことは否めません。
それでも未だにすこし贅沢すれば乗車できる範囲内ですし、ノビノビ座席に至っては新幹線よりも安く乗車できてしまいます。
夜行列車が新たに誕生しても、高価格、不定期運行かつ観光向けのダイヤ設定に終始し、サンライズ号のような「定期運行・普段使い・ビジネスや帰省での利用」を見込んだ列車は一向に登場しない現状を見るに、サンライズ号の未来は決して明るいものとは言えないことは誰でも感じ取ることができるでしょう。
車両の老朽化も進む中、今後サンライズ号を取り巻く環境はどんどん悪くなっていくでしょう。
せめて少しでも長い間、サンライズ号が持つ「寝台特急」の魅力を多くの人に伝え続けて欲しいものです。
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(随時追加)
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