目次
aboutひたち・常磐線
太平洋に寄り添う路線
特急ひたち号は、品川駅といわき駅・仙台駅を結ぶ特急です。
仙台と聞いて、大部分の人々は東北新幹線を使うと思います。しかし、東北新幹線は東北本線の進化系であるため、東北本線と同じく東北地方内陸部を走ります。
一方、太平洋沿岸部を沿うように走る路線である「常磐線」が存在します。常磐線は首都圏と茨城県・福島県などを結ぶ路線で、特急ひたちは常磐線を走行します。
幹線を襲った震災
JR発足後から新型車両が投入され、常磐線沿線の人々の生活を支えてきましたが、大きな転機となった出来事が2011年に発生しました。
東日本大震災です。
震災により、常磐線は不通区間が生じました。常磐線のような幹線は、すぐにでも復旧させるべきなのですが、そうできない様々な事情が重なりました。
沿岸部から少し内陸部に線路を移設させる事になった点と、福島第一原発事故によって、不通区間の一部が立ち入れない状況になった点です。
線路部分の除染を行うなどの下準備を行い、2020年、9年ぶりに全線で運行を再開しました。
再開区間を駆け抜けるひたち号を見て、感慨に浸った人々の数は計り知れません。
運行再開後の現状
全線で運行が再開した後の運行系統は概ね震災前の状態となっています。
品川~仙台の直通便が3往復、それ以外は品川~いわきまでの運行です。
いわきは福島三大都市の一つですので、この駅を境に需要が大きく変わることは容易に想像が付きます。
常磐線の北部では、少ない普通列車の補完を行いつつ、いわきからはビジネス需要を拾い、その後は最高時速130km/hの走りを見せる、実に多面性を持った特急でもあります。
運行区間
品川~仙台(大部分は途中のいわき駅まで)
使用車両
すべての車両がE657系で運転されています。E657系はひたちの補完列車である「ときわ」にも使用されていて、根っからの常磐線特急専属の車両なのです。
車両編成
10両編成で運行されています。
5号車がグリーン車で、それ以外は普通車指定席となっています。
自由席は存在しません。最近は自由席廃止がJR特急のトレンドらしいですね。それに抗うようにJR西日本は「はるか」の自由席を増やしました。会社によって随分と違います。
きっぷの種類
ひたち号の料金は3種類存在します。
普通車指定席(指定席券)
一般的な指定席券です。座るべき座席が券面に記載されています。
普通車座席未指定券
前述の通り、自由席は存在しませんが、自由席に代わる制度が導入されています。
それこそが座席未指定券です。
これは、普通車指定席に座れるものの、指定されていない座席であればどの座席にも座ることができる(グリーン車除く)券となっています。
座席が指定されているものかどうかの判別は、座席上部のランプで確認可能です。
赤色=座席が指定されていない状態
黄色=もうすぐ予約した人が到着
緑色=予約された席
となっていますので、赤色の席に座りましょう。
グリーン車指定席券
グリーン車は指定席のみですので、券面に記載の座席に着席しましょう。
サービス
フリーWi-Fi
全車両でフリーWi-Fiが使用可能です。速度は区間や接続数によって変動しますが、一般的なネット記事閲覧などは快適にできそうです。
車内販売
ひたち号は、日本で数少ない車内販売が行われている在来線特急の1つです。前と後ろを行ったり来たりしています。品目や区間などは販売会社HPを御覧ください。
https://www.jresc.co.jp/service.html
車内紹介
外装
正面
イケメンですね。個人的には時代を超えても愛される顔という感じです。ビジネス需要も多いですし遊び心満載というわけには行かないのでしょう。
側面
白を基調とし、窓まわりは黒、その下に太めのピンク色のラインが入っています。
行き先表示器
多色対応液晶の行き先表示器です。
グリーンマーク
グリーンマークは大きすぎず小さすぎずです。
内装
普通車車内
車内全景
2+2の4列で座席が並びます。E657系に関してはグリーン車も4列の座席配置です。
座席
黒を基調とした落ち着いた座席です。特急あずさ(E353系)の普通車と似たような座席ですね。
座席の幅は普通で、狭さは感じません。
設備をすべて使った感じがこちらです。次の項目からは、各設備を詳細に説明していきます。
リクライニング
リクライニングの角度は一般的なもので、十分快適に過ごせるでしょう。写真ではそこまで倒れないように見えますが、体感では結構ベストポジションになると思います。
各々に最適な角度を提供できるのがリクライニングですから、必要以上に倒れる必要もないので、これで十分といったところでしょう。
肘掛けの側面にリクライニング作動ボタンがあり、それを押すことで調整できます。
コンセント
前述のリクライニングボタンの隣にコンセントがあります。
コンセントは全席に設置されています。電圧は変動する可能性があるのでご注意を。
テーブル
前の座席の背面にテーブルが取り付けられています。裏面に車両の案内が記載されています。
展開した図です。特段珍しさは有りません。ものを載せてみましょう。
食事をとったり、PCで作業する分には不足はないでしょう。ドリンク用のくぼみはありますが、別にドリンクホルダー(後述)があるので、使わなくても置き場に困ることは有りません。
最前列のテーブル
最前列は前に座席がないことから、上の写真のようなテーブルになっています。
背面ポケット
背面テーブルの下には背面ポケットがあります。ちょっとした雑誌などを入れておけます。
ドリンクホルダー
高速バスに有りそうな折りたたみ式のドリンクホルダーが設置。
手持ちのカフェラテは入りました。まあ一般的なサイズなら大体入るでしょう。
フック
背面テーブルの上にフックが備え付けられています。
この他にも、窓の横にフックが備え付けられています。
取っ手
座席の回転に便利な持ち手は、握りやすいハンドル仕様になっています。
枕
JR東日本は普通車にも枕を取り付けることで有名です。感触は良好で、反発はあまり感じません。実は、この枕は高さを調整できます。
デフォルトでは一番低い状態にセッティングされています。特に強い力を加えなくても、スルスル動いてくれます。だからといって、勝手に動くということはありません。ファスナー的なものを使っているので、きちんとベストポジションで固定されるのです。
アームレスト
座席を隔てるアームレストは折りたたみが可能です。
カーテン
上から引き下ろすタイプのカーテンは無段階固定式になっています。いい感じの高さで固定できます。
柄も無難なものです。
窓
在来線特急らしい大きめの窓です。眺望に差し支えはないでしょう。
窓際
窓際にはちょっとしたものを置いておけます。
棚
座席上部の棚は一般的なものです。
座席番号
座席番号は棚の裏面に記載されています。間違えないようにしましょう。
情報表示液晶
客室両端部に停車駅などを表示する液晶が設置されています。沿線情報なども流れてきますので、ぜひ目を向けてみてはいかがでしょうか。
その他の設備
トイレ
トイレは男性専用トイレと共用トイレが設置。使用状況は行ってみないとわかりません。JR西日本などの特急には、客室からでもトイレの使用状況がわかるランプが設置されているのですが、E657系には設置されていません。
いかにもおしゃれな洗面台も設置。
ゴミ箱
ゴミはゴミ箱に入れましょう。
消火器など
非常用設備はデッキに集約されています。
防犯カメラ
近年の車両の標準になりました。
最後に
今回は、JR東日本の「特急ひたち」を紹介しました。内装がよくまとめられていて、有名ホテルかと思ったほどです。
落ち着いた内装を裏切らない快適な乗り心地は、平成後期~令和初期の特急車両の見本となったに違い有りません。
東京から茨城・福島浜通りを訪れる方はぜひ利用してみてはいかがでしょうか。