about大阪線・名古屋線(大和八木~近鉄四日市)
大阪線と名古屋線は近鉄の中でも指折りの路線です。2つの路線を直通させれば名阪間を移動できますし、線形もよく、全線複線ですから近鉄を代表する特急たちが駆け抜けていきます。しかし周辺の地形は良好とは言い難く、青山峠を超える必要があります。戦後、高度経済成長期に入っても青山峠付近は単線でした。
そして悲劇が起こります。1971年、単線区間での誤操作により特急列車が暴走。特急列車はトンネルに激突します。更に対向の特急列車とも衝突。結果的に死者25名、重軽傷者288名を出す大惨事となりました。これを機に、複線化工事が前倒しで進められ、現在は新しい複線トンネルによって名阪間が結ばれています。
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路線図(近鉄四日市~大和八木)
使用車両
普通列車としては白と赤のいつもの近鉄電車が、特急列車としては汎用特急の22000系や22600系、ビスタEX、サニーカーや、個性派特急としてはひのとりやしまかぜなどが使用されています。
名古屋線の急行はクロスシートが高確率で連結されているので、快適な列車旅を楽しむことができます。
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乗車記(近鉄四日市~大和八木)
乗車したアーバンライナーの解説記事はこちら
近鉄特急の解説も書いています。
四日市はひのとりがスルーする(ダジャレじゃないよ)駅なので大きくない…わけではなく、めっちゃ都会です。工業都市であり、高架駅であり、近鉄百貨店が隣接している駅でもあります。こんな需要が見込めそうな駅を通過していくひのとりのヤバさが伺えます。
ひのとりの内装に関しては別の記事で取り扱っています。
ホーム上にはコンビニもあります。
この四日市駅には様々な路線が集結しています。今回利用する近鉄名古屋線を始め、湯の山線、四日市あすなろう鉄道も発着しています。四日市あすなろう鉄道は昔近鉄でしたが経営移管されました。
それではアーバンライナーに乗り込み、大和八木を目指します。
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車内は傾きつつある太陽が差し込み、いい感じの明るさです。
ここで名古屋線と大阪線、そして名阪特急のうんちくをお話しましょう。
近畿日本鉄道は今でこそ1つの会社ですが、その歴史は合併の歴史と言っても過言では有りません。そしてその歴史には、先人たちの人間ドラマが隠されているのですが、それが顕著なのが奈良線、そして名古屋線と大阪線です。
近鉄の直系のご先祖様は大阪電気軌道(大軌)です。大軌は大阪奈良間を開業後、橿原神宮へと至る路線を建設。また、奈良盆地の軽便鉄道なども買収し、大阪と橿原神宮を結ぶショートカット路線も建設。これが現在の大阪線大阪上本町~大和八木間の礎です。
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大和八木駅からさらに西へ向けて線路を伸ばそうと画策していた大軌は、あの手この手で敷設免許を取得。いくつかの段階を経て伊勢方面への線路が完成。大軌の子会社である参宮急行電鉄(参急)が運行を担当しました。
いっぽう、名古屋線のルーツは伊勢電気鉄道(伊勢電)です。同社は、中京圏から伊勢までの顧客をターゲットにしていました。
しかし、汚職が発覚して伊勢電は瀕死状態。そこで参急が伊勢電を買収することになります。その後、大軌・参急などが合併、離散することを経て近鉄が誕生します。
伊勢電は中京圏と伊勢、大軌・参急は大阪と伊勢ですから、近鉄は大阪と名古屋の2大都市を結ぶ路線を手に入れたのです。
近鉄書類上大阪と名古屋を結ぶ路線を有していましたが、実際には直通は不可能でした。線路の幅、いわゆる軌間が異なるからです。
近鉄としては是が非でも線路の幅を統一しようと必死でした。当時、東海道新幹線は未開業であり、名阪間のライバルは国鉄の在来線(関西本線・東海道本線)だったからです。もし直通が可能になれば、国鉄と変わらない時間・利便性で名阪間を結べるようになるわけです。悲願であり、実際に計画が実行されようとしたその矢先、伊勢湾台風が名古屋線を襲いました。
復旧に莫大な費用と時間がかかり、軌間統一どころでは有りません。
当時の社長、佐伯勇は考えました。復旧と軌間統一を同時にやってしまえば良いのだ、と。およそ1週間の突貫工事で名古屋線の改軌(レールの幅の変更)が完了。晴れて大阪線と名古屋線が直通可能になりました。
というドラマがあったわけです。
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県庁所在地の津駅を出てしばらくすると、伊勢中川駅に差し掛かります。しかし、この列車は伊勢中川駅をスルーします。通過ではなく(実際には通過"扱い")、物理的に通りません。ですが伊勢中川駅は大阪線と名古屋線の分岐点です。ここを通らずしてどう大阪線に向かうのでしょうか。
大阪線と名古屋線は収束するように合流します(赤線)。ですから本来大阪線と名古屋線を直通する列車は伊勢中川駅でスイッチバックを行う必要があります。ですが名阪特急はルート(青線)にあるように、短絡線を通ることにより伊勢中川駅をスルーして方向転換を行わずに大阪線方面に抜けることが可能になるわけです。この短絡線を中川短絡線と言います。
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しばらくすると山間部に突入します。
新青山トンネルを抜け、伊賀神戸駅に到着します。この駅からは伊賀鉄道線が伸びています。伊賀鉄道線は元々近鉄伊賀線でした。終点の伊賀上野で関西本線と接続しています。関西本線(加茂~柘植)の乗車記も書いていますので御覧ください。
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伊賀神戸を過ぎても山間部は続きます。
少し開けたかと思うと名張の街が見えてきます。奈良に見せかけてまだ三重です。
特急街道なので、頻繁に特急とすれ違います。
住宅街が広がり、通勤需要が伺えます。
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でもまだ奈良盆地は遠いです。
しかし山間部も終わりを告げ周囲にはビルが立ち並ぶようになりました。
大和八木はもうすぐです。
大和八木駅に到着しました。
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最後に
アーバンライナーのデラックス席は非常に快適で、静かで時間が立つのを早めてくれます。同区間で普通列車を利用するのに比べて体感時間が短くなります。特急とは単に物理的な時間を短縮するだけでなく、心理的な時間も削減してくれるようです。リニアが開業すれば名阪特急の立場は1964年の東海道新幹線開業と同じぐらい変貌するでしょうが、時間だけでは測れない魅力がそこにはあります。ぜひご利用ください。
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