aboutはるか
開発経緯
新空港建設
1980年代、関西の空の玄関口といえば「大阪国際空港(伊丹空港)」でした。しかし、市街地と至近距離に位置しており、近隣住民の方々は騒音に悩まされていました。特に、昔のジェット機は今とは段違いの爆音でしたから、たまったものではないでしょう。
それ故、離発着時間が制限されるなど様々な制約が課され、伊丹空港は日本第2位の都市圏の玄関口を務めることが難しくなってきました。
この状況を打開するために、大阪湾の沖合に人工島を作り、24時間離発着可能な空港を建設しようということになりました。
アクセスは道路と鉄道
さて、関西国際空港へのアクセスが問題になるわけですが、道路鉄道併用橋を建設することになり、JR阪和線及び南海本線に接続することになりました。
JRはライバルの南海に負けぬよう、乗車券のみで乗車できる「関空快速」、そして有料特急の「はるか」を運行することになります。
関空快速の解説記事は以下を御覧ください。
1994年、関西国際空港の開港と同時に「はるか」はデビューしました。登場してから来年で30年になります。
新型車両は少数
2019年には運行開始当時からの「はるか」である281系の後継車両、271系が登場しました。車内設備が大幅にアップグレードされましたが、少数の導入に留まりました。増結用編成としての位置づけが強く、新型に確実に乗車できる方法は存在しません。
来たらラッキーぐらいにしておくほうが無難でしょう。
今回はそんな「はるか」(281系・271系)のグリーン車・普通車の設備を徹底的に解説します。
運行区間
野洲~関西空港(京都以東からの始発は少ない。基本は京都~関西空港)
停車駅
uwema.hatenablog.com基本的に主要駅に停車する感じですが、朝夕は通勤特急としての役割も果たすため、通勤需要が見込める駅にも一部列車が停車していきます。
車両編成
基本編成は1号車から6号車までの6両編成ですが、一部の列車は7~9号車を連結した9両編成で運行されます。グリーン車は1号車で、自由席も設定されています。
車両紹介
外装(281系)
どこか近代的で優しさを感じるカラーリングに、最近はハローキティが顔をのぞかせています。
インバウンド云々の随分前から筆書体のロゴとは、さすが先見の明を備えたJR西日本です。
外装(271系)
「くろしお」などで活躍する287系や2024年から投入される「やくも」の新型に似た表情です。切り立った崖の上に高運転台が設置されています。
最近の車両らしく271系は行き先表示器がデジタル方式です。281系は方向幕です。
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内装(座席以外の車内設備)
トイレ(281・271系共通)
この他に、男性専用トイレも設置されています。
水回りは他にも洗面所が設置されています。
荷物置き場(281・271系共通)
空港アクセス特急らしく、スーツケースなどを置いておける荷物置き場が設置されています。
元々なにかあったんだろうなと感じさせられるスペースです。
自動販売機はない
自動販売機は昔存在しましたが今は消滅しました。駅の売店で購入しましょう。
ゴミ箱(281・271系共通)
ゴミはゴミ箱に捨てましょう。
情報表示液晶(281・271系共通)
客室上部に設置されている液晶には運行情報やその他様々な文字が並びます。
フリーWi-Fi
全車両でフリーWi-Fiが利用できます。
座席
281系普通車座席
座席全景
「はるか」に乗車した場合、一番遭遇する確率が高い座席がこの座席です。デザインや設備は数世代前のもので、お世辞にも満足度は高く有りません。
座席クローズアップ
テーブル
側面から引き出すタイプのミニテーブルが装備されている以外、存在しません。
コンセント
コンセントは設置されていません。(271系はあります)
車椅子対応座席
車椅子のお客様に向けた座席が設置されています。こちらは271系にも設置されています。
271系普通車座席
車内全景
271系は最近製造された車両のため、近年のJR西日本ではよく見かける座席になっています。おそらく新快速有料座席A-SEATと同一の座席(モケットは違う)が使用されていると思います。
A-SEATってなんやねんと思った方は下の記事を御覧ください。
テーブル
はるか唯一の背面テーブルです。281系には普通車・グリーン車どちらにも背面テーブルが装備されていません。デビュー当時の社会状況を勘案すると致し方ないですが。
コンセント
アームレストにコンセントが設置されています。
座席番号
座席番号は棚の裏面や座席取っ手にも記載されています。
281系グリーン車座席
車内全景
普通車とは一線を画す、3列(2+1)の配列で座席が並びます。
なかなか恰幅の良い座席です。もやしと揶揄される筆者が座るにはあまりにも大きすぎます。
テーブル
背面テーブルは設置されていませんが、サイドテーブルが設置されています。
フック
前面座席の背面におしゃれなフックが取り付けられています。
枕
普通車にはないどっしりとした枕が備え付けられています。感触も良好です。
リクライニング
手前はリクライニング最小、奥はリクライニング最大の状態です。体感はかなり倒れる感じです。
リクライニングボタンを押して倒れる方式です。
フットレスト
普通車にはない設備の一つ、フットレストです。しかし、新幹線のグリーン車とは異なり、靴を脱いで利用するタイプではなく、土足のみで使用するタイプです。
足元
グリーン車なだけあって、足元は広々としています。
カーペット
グリーン車は床がカーペットとなっています。
照明
照明は棚の裏に設置されています。読書灯は装備されていません。
BlueSignal
グリーン車のサービスの一環で、機関紙が備え付けられています。
窓
グリーン車に限ったことでは有りませんが、在来線特有の大きな窓が備え付けられています。
窓枠
窓枠にはちょっとしたものが置いておけます。
座席番号
座席番号は棚の裏に貼り付けられています。
棚
棚は一般的なものです。荷物置き場があるので、絶妙に置いておきたいものを入れましょう。
最後に
JRならではの路線網を利用して、関西国際空港と大阪・京都をダイレクトに結ぶ特急はるかは、間違いなくJR西日本の代表的な特急列車と言えるでしょう。
裏を返せば、「はるか」で日本の鉄道に初めて触れる観光客の方々もいらっしゃいますので、がっかりさせないよう、設備はきっちり整えておく必要があります。
しかし、導入から30年が経過しようとしている281系がいまだ主力車両で、設備も最新と言えない状況では、果たして空港アクセス特急としての役割を果たせるのかと疑問に思う部分も存在します。
しかし、新型車両を積極的に導入するJR東日本とうって変わって、JR西日本は車両を長く大切に使用する会社です。しばらくはこのままかわりがないものと思われます。
今後、271系のさらなる導入や、新しいグリーン車の開発をぜひお願いしたいところです。