交通解説ブログ uwemaの日記

近鉄名阪特急の偉大なる脇役、アーバンライナーの解説 <2023年最新>

目次

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aboutアーバンライナー

アーバンライナーPlus

アーバンライナー(21000系)は、1988年に、近鉄名阪特急の専用車両としてバブル真っ只中の日本にさっそうと登場しました。

近鉄名阪特急は、1964年の東海道新幹線の開業によりシェアを大きく奪われ、悲惨な運行状況となっていましたが、国鉄の相次ぐ値上げにより1980年代になると、一定の支持を得るようになりました。

近鉄は、これまでの「安さ」というアドバンテージを「安くて快適」というアドバンテージに昇華させるべく、アーバンライナーを登場させたのです。

具体的には、外観の大きな変更、上級座席の「DXシート」の新設などが旧型特急との相違点です。

JRでいう「グリーン車」に相当するDXシートが、僅かな追加料金で利用できるため、JRに対する大きなアドバンテージになっています。

2003年にはリニューアル工事を開始するとともに、追加投入車両として派生型の21020系「アーバンライナーnext」がデビュー

アーバンライナーNext

旧型のアーバンライナーは更新工事後は「アーバンライナーplus」として再度デビューし、車内装備は「アーバンライナーnext」と同等になっています。

30年近く、更新工事を経て近鉄の看板特急として活躍してきたアーバンライナーですが、2020年には新型名阪特急として「ひのとり」が登場

ひのとり

ひのとりは名阪甲特急(速達型)に投入され、今まで甲特急の運用についていたアーバンライナー名阪乙特急(主要駅停車型)に追いやられます。また、名阪特急の枠を越えて、伊勢方面の特急にも顔を見せるようになりました。(これまでも顔を見せることは有りましたが今後は頻度が増えると予想されます。)

しかし現在でも、この「安くて快適」というモットーはひのとりに受け継がれています。

ひのとりの車内紹介はこちらをご覧ください。

uwema-blog.com

uwema.hatenablog.com

 

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ダイヤ

原則1時間に1本の運行で、同じく1時間に1本運行されているひのとりを補完しています

車両編成

6両編成で運行されますが、多客期は8両での運行もあります(plus車両のみ)。

近鉄公式サイトより

1号車がデラックスシートです。それ以外はレギュラーシートです。レギュラーシートは乗車券と特急券、デラックスシートは乗車券と特急券に加えて特別車両券が必要です。

近鉄特急の料金体系や座席の種類についてはこちらの記事をご覧ください。

uwema.hatenablog.com

停車駅(名阪特急運用時)

現在、名阪乙特急として第二の人生を送るアーバンライナーは、エースのひのとりがさっそうと通過する中規模主要駅にこまめに停車していきます。

2023年7時点での停車駅は、

大阪難波大阪上本町鶴橋大和八木名張桔梗が丘(一部列車)・伊賀神戸(一部列車)・・白子・近鉄四日市・桑名・近鉄名古屋

となっています。(赤字はひのとりの停車駅。但し大和八木は一部列車のみ停車。)

 

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車内紹介

※写真はアーバンライナーNextですが、Plusも基本的には同じ設備です。

レギュラーシート

レギュラーシートは2+2の配列

レギュラーシートは4列の配置です。

座席

リクライニング可能な座席ですが、背面テーブルを装備していません。ビジネス特急としては違和感を覚えます。

アームレストは一人あたり1本ずつ装備され、窓側席にはコンセントがあります。

車椅子対応座席

車いす対応座席も装備されており、バリアフリーに配慮した設計となっています。

フットレスト(写真は最前列)

フットレストが装備されており、土足の面と素足の面が用意されています。

 

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DXシート

2+1の配列

DXシートは3列の配置となっています。しかし、2列のほうも個々の座席が完全に分離されている独立型です。

2列の隙間

座席

レギュラーシートとは違った、どっしりとした安定感のある座席です。

コントロールパネル

座席横にはコントロールパネルが装備。電動リクライニングの制御と読書灯のON・OFFが可能です。

コントロールパネル

 

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リクライニング

リクライニングは電動式で、体重をかけなくてもスイッチひとつで静かに沈み込んでくれます。ゆりかご式リクライニングが採用されており、リクライニング角度を抑えつつ、座面が沈み込むことで、角度からは想像できないぐらいの倒れ具合を実現します。

テーブル

レギュラーシート同様、背面テーブルは装備されていませんが、肘掛けにそれなりの大きさのテーブルが格納されています。

肘掛けに内蔵されたテーブル

引き出す

テーブルの面積は2種類から選択可能であり、ちょっとしたドリンクを置きたい場合などは引き出し、倒して展開せず使用しましょう。

テーブル(小)展開時

大きさが足りない場合は更に展開することが可能です。

テーブル(大)展開時

 

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テーブルとPCの相性

では実際に、このテーブルにPC(13.3インチ)を置いてみましょう。

こうなります。

小さくないか?

微妙にカーブしているせいで、到底余裕があるとは言えません。というかはみ出しています。

やはり小さい

15インチのパソコンなどは到底作業できません。また、滑り止めがついている機種などは、それがはみ出してしまい、うまくホールドできずに安定感を得ることが難しいかも知れません。

また、ディスプレイ展開によって傾斜をつけている機種(VAIO)などは傾斜がつけづらい可能性もあります

そして、Surface(キーボードタブレット分離型の機種)の方々は諦めていただくほうが無難でしょう。膝の上で使うか、キーボードは諦めてタブレットとして使用されることをおすすめします。

とまあ、テーブルに関して言えばかなり不満が残ります。

読書灯

読書灯

明るい読書灯が座席に装備されています。前述のコントロールパネルでスイッチを入れることができます。

 

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窓側ドリンクホルダー(Nextのみ)

ドリンクホルダー

アーバンライナーNextの窓枠のデザイン上、窓際にものが置けないようになっているので、Nextのみこのようなドリンクホルダーが設置されています。別に収まれば色々なものを置くことができると思いますが、ペットボトルを入れるとドンピシャのサイズでしたので、おそらくドリンクホルダーとしての使用が想定されているのでしょう。

フットレスト

DXシートのフットレストも、レギュラーシート同様土足面と素足面があります。

フットレスト(土足面)

土足面使用時

フットレスト(素足面)

素足面使用時

 

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コンセント

コンセント

コンセントはかなり下の方に設置されており、フットレストの横にあります。レギュラーストと異なり、DXシートはコンセントが1席それぞれに設置されています。

可動式の枕が設置されており、上下に移動できます。(写真は上限まで移動した際の写真)

カーテン

ごく一般的な布製のカーテンです。遮光効果は抜群。

カーテン
背面ポケット

背面ポケット

ペットボトルなどが難なく入る、ポケットが前席の背面に装備されています。

 

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エアコン

エアコンの調整は座席上部の棚の下で可能です。

エアコン噴出口

かなり大型の窓が設置されています。ライバルの新幹線は小型の窓ですから、大型の窓で景色を楽しめることも近鉄を選ぶメリットの一つになるでしょう。

荷物棚

ごく一般的な荷物棚です。

荷物棚

 

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その他の車内設備(レギュラー・DX共通)

フリーWi-Fi

アーバンライナーでは全車両で無料のフリーWi-Fiが利用できます

デッキ

デッキ

特急列車なので、客室と外界との間にはデッキがあります。

また、編成最前と最後尾のデッキの乗務員室側はガラス張りになっていて、前面展望を楽しむことができます

最後尾からの眺め
洗面台

清潔感あふれる鏡付きの洗面台が設置されています。

洗面台

 

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おしぼり

近鉄特急の伝統的なサービスの一つがおしぼりです。セルフ式になりましたが、まだまだ健在です。

おしぼり
トイレ

3種類あります。一つが、男女共用トイレ。そして、男・女それぞれの専用トイレです。使用状況は客室端部に設置されているランプからでもわかるようになっています。

トイレ
自動販売

自動販売

3号車には飲料の自動販売機が設置されています。支払い方法は現金のみです。メーカーはDyDoなので、コーラとかは売ってません。

情報表示液晶

情報表示液晶

客室の端部上方に設置されている液晶では、ニュースや天気、前面展望の映像や停車駅、開くドアの案内などが表示されます。トイレの使用状況もこちらでわかるようになっています。

ゴミ箱

ゴミ箱

ゴミはゴミ箱に捨てましょう。

喫煙室(2024年3月で廃止)

喫煙可能車両が消滅し、喫煙室でのみ喫煙を許されるようになっています。喫煙ルームは編成中に2箇所(8両編成の場合は3箇所)設置されています。

なお、2024年3月1日から喫煙室も閉鎖され、近鉄特急の車内では完全に禁煙となります。

喫煙室

 

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最後に

以上、アーバンライナーの紹介でした。ひのとりのデビュー以降、名阪間の移動でわざわざこちらを選ぶ方も少ないかと思いますが、四日市伊賀神戸など、中規模主要駅からの乗車や下車などには重宝する列車です。ぜひご利用ください。